Retell AIで電話AIエージェントを運用する際の実践知と設定テクニック
当社では、Retell AIを用いた電話AIエージェント「アイリス」を運用しています。この記事では、Retell AIのAgent APIの運用実態と、実際にハマったポイント、それらを解決するための設定やコード例を紹介します。
誰のどんな課題を、どう解決したか
当社では、AIによる電話受付を導入しており、顧客との通話を自動で処理する「アイリス」というAIエージェントを運用しています。しかし、AIの応答のタイミングや要約の精度に課題があり、それらをRetell AIのAgent APIを活用して解決しました。
Responsivenessの設定を正しく理解する
Retell AIのAgent APIでは、responsivenessというパラメータが応答の速さを制御します。このパラメータは[0, 1]の範囲を取り、1に近いほど応答が速くなります。しかし、公式ドキュメントによると、このパラメータのデフォルト値は1であり、過去の設定で0.7に設定していた場合は、デフォルトよりも遅い応答になる可能性があります。
解決策
responsivenessを1に設定し、デフォルト値を活用する。- さらに、
enable_dynamic_responsivenessをtrueに設定することで、ユーザーの話速や会話の流れに応じて自動的に応答の速さを調整することが可能です。
{
"responsiveness": 1,
"enable_dynamic_responsiveness": true
}
要約生成の精度を高める
Retell AIは、通話後にpost-call analysisを実行し、要約を生成します。この要約は、CALL_SUMMARY_ANALYSIS_PROMPTというプロンプトによって生成され、このプロンプトの精度が要約の品質に直結します。
現状の課題
- 現在のプロンプトでは、話者の取り違え(「自分が不在と言った」→「本人が不在と言われた」)が起こる。
- これにより、要約の精度が低下し、顧客との誤解や混乱を招く可能性があります。
解決策
- プロンプトを再設計し、話者の識別を明確にする。
- 修正後のプロンプトを、ライブ共有エージェントに反映するには、
agent.update()APIを用いる。
// 修正後のプロンプトの例
const CALL_SUMMARY_ANALYSIS_PROMPT = `
あなたは通話要約専門のAIです。会話の要約を生成してください。
会話の主体(発信者/受信者)を明確にし、用件を正確に記録してください。
`;
録音URLの保存と保護
Retell AIは、録音URLを自動で提供しており、recording_urlとrecording_multi_channel_urlというフィールドに保存されます。recording_multi_channel_urlは、話者分離録音を提供し、チャンネルごとに録音データを取得可能です。
保存方法
録音データをR2ストレージに保存するには、presignR2Put APIを用いて、URLを生成し、call_recordingsテーブルに保存します。
// R2に録音URLを保存する処理
const { presignR2Put } = require('./_shared/r2.ts');
const uploadUrl = presignR2Put('call_recording', 'example_call_id.wav');
// call_recordingsテーブルに保存
db.insertInto('call_recordings')
.values({
call_id: 'example_call_id',
storage_path: 'call_recording/example_call_id.wav',
storage_bucket: 'call-recordings',
storage_size: 1024, // 1KB
recording_url: uploadUrl
})
.execute();
保護方法
録音データへのアクセスを制限するには、RLS(Row Level Security)ポリシーを設定します。これにより、ログインしていないユーザーはアクセスできないようにし、該当顧客(org)のみがアクセス可能にします。
まとめ
Retell AIを用いた電話AIエージェントの運用では、以下の点に注意する必要があります:
responsivenessのデフォルト値を理解し、正しい設定を行う。- 要約生成のプロンプトを再設計し、精度を高める。
- 録音データをR2に保存し、RLSで保護する。
これらの設定を正しく行うことで、AIエージェントの品質を高め、顧客満足度を向上させることができます。